可用性(アベイラビリティ)とは
可用性(アベイラビリティ)とは、コンピュータシステムやサービスが、必要なときにいつでも利用できる状態を保つ能力を指します。簡単に言えば、「止まらない」「いつでも使える」という状態のことです。
例えば、皆さんが普段使っているスマートフォンのアプリや、インターネットバンキング、オンラインショッピングサイトなどが、メンテナンスや故障で頻繁に利用できなくなると困りますよね。可用性が高いシステムとは、そういった事態を避け、ユーザーが使いたいときにいつでもアクセスできる状態が維持されているシステムのことです。
可用性は、情報セキュリティの国際規格であるISO/IEC 27001などで定義される「情報セキュリティの3要素(機密性・完全性・可用性)」の一つでもあります。機密性(情報が漏れないこと)や完全性(情報が改ざんされないこと)と並んで、情報システムにおいて非常に重要な要素とされています。
なぜ今、話題なの?
現代社会では、多くのサービスがインターネットを通じて提供されており、私たちの生活やビジネスはITシステムに大きく依存しています。そのため、システムが停止することは、社会全体に大きな影響を与えるようになりました。
例えば、2022年7月には、通信障害により携帯電話サービスが長時間利用できなくなり、通話やデータ通信だけでなく、緊急通報や決済サービスなど、広範囲にわたる影響が出ました。このような大規模な障害が発生すると、企業は経済的な損失を被るだけでなく、社会的な信用も失う可能性があります。
また、クラウドサービスの普及も可用性が注目される理由の一つです。多くの企業が自社でシステムを運用するのではなく、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、Google Cloudといったクラウドサービスを利用しています。これらのクラウドサービスは、高い可用性を売りにしていますが、それでも障害が発生する可能性はゼロではありません。そのため、利用する側も、提供する側も、可用性を高めるための対策を常に意識する必要があります。
どこで使われている?
可用性という考え方は、ITシステムだけでなく、社会の様々な場所で重視されています。
- 金融システム: 銀行のATMやオンラインバンキングは、24時間365日稼働していることが求められます。システムが停止すると、預金の引き出しや送金ができなくなり、個人の生活や企業の経済活動に大きな支障が出ます。
- 交通システム: 航空管制システムや鉄道の運行管理システムは、常に正確に動作し続ける必要があります。システム停止は、人命に関わる重大な事故につながる可能性があります。
- 医療システム: 病院の電子カルテシステムや検査機器は、患者の命に関わる情報を取り扱うため、いつでも利用できる状態が不可欠です。
- ECサイト: Amazonや楽天などのオンラインショッピングサイトは、システムが停止すると売上機会を失うだけでなく、顧客からの信頼も失墜します。
- 災害対策: 地震や台風などの自然災害が発生した際でも、情報伝達や緊急サービスが利用できるように、通信インフラや電力供給システムには高い可用性が求められます。
これらの例からもわかるように、可用性は、私たちの安全や利便性を支える上で欠かせない要素となっています。
覚えておくポイント
可用性を高めるためには、様々な対策が講じられます。主なものとして、以下の点が挙げられます。
- 冗長化: 同じ機能を持つ機器やシステムを複数用意し、一つが故障しても、すぐに別のものが引き継いで稼働できるようにすることです。例えば、サーバーを複数台用意したり、通信回線を二重化したりします。
- 負荷分散: 複数のサーバーに処理を分散させることで、特定のサーバーに負荷が集中してシステムが停止するのを防ぎます。
- バックアップ [blocked]と復旧計画: データが失われたり、システムが停止したりした場合に備えて、定期的にデータのバックアップを取り、迅速にシステムを復旧させるための手順を定めておきます。
- 監視と保守: システムの状態を常に監視し、異常を早期に発見して対処することで、障害の発生を未然に防いだり、影響を最小限に抑えたりします。
- 災害対策(DR: Disaster Recovery): 地震や火災などの大規模災害に備え、遠隔地に予備のシステムを用意しておくなど、事業継続のための計画を立てておくことです。
これらの対策を組み合わせることで、システムやサービスの可用性は向上し、私たちは安心してITサービスを利用できるようになります。