コンピテンシーとは?
「コンピテンシー」とは、簡単に言うと「仕事で高い成果を出す人が共通して持っている行動や考え方の特徴」のことです。
例えば、ある営業担当者がいつも素晴らしい成績を上げているとします。その人は、ただ「がんばっている」だけでなく、もしかしたら「お客様の話を熱心に聞く」「難しい課題でも諦めずに解決策を探す」「周りの人を巻き込んで協力体制を作る」といった、具体的な行動や考え方の癖を持っているかもしれません。この「成果につながる行動や考え方の癖」を洗い出して、名前をつけたものがコンピテンシーです。
これは、スポーツの世界で例えると分かりやすいかもしれません。一流のサッカー選手が「なぜ一流なのか」を分析したときに、「ボールを正確に蹴る技術」だけでなく、「試合の流れを読む力」「チームメイトと連携するコミュニケーション能力」「どんな状況でも冷静でいられる精神力」といった、目に見えないけれど成果に直結する能力や行動パターンが見つかるでしょう。それが、その選手のコンピテンシーにあたります。
なぜ今、話題なの?
コンピテンシーが注目されるようになったのは、主に次のような理由からです。
- 成果を出す人を増やしたいから 企業は、社員一人ひとりが高い成果を出すことで成長します。コンピテンシーを明確にすることで、「どうすれば成果を出せるのか」という具体的な行動指針が示され、社員が成長しやすくなります。
- 公平な評価や人材育成に役立つから これまでの評価は、学歴や経験、持っている知識などが重視されることがありました。しかし、コンピテンシーでは「実際にどんな行動をして、どんな成果を出したか」という点に注目します。これにより、より公平で納得感のある評価ができるようになり、また、社員の強みや弱みを把握して、それぞれに合った育成プランを立てやすくなります。
- 変化の激しい時代に対応するため 現代のビジネス環境は、IT技術の進化などで目まぐるしく変化しています。過去の知識や経験だけでは対応しきれない場面も増えてきました。コンピテンシーは、新しい状況でも柔軟に対応し、成果を出し続けるための「行動する力」に焦点を当てるため、変化に強い組織を作る上で重要視されています。
どこで使われている?
コンピテンシーは、主に企業の人事や人材育成の分野で幅広く活用されています。
- 採用活動:面接で候補者が自社で成果を出すために必要なコンピテンシーを持っているかを見極める際に使われます。例えば、「チームで協力する力」を重視する企業であれば、過去の経験からその力を示すエピソードを聞き出す、といった形です。
- 人事評価:社員が目標達成のためにどのような行動をとったかを、コンピテンシーの観点から評価します。例えば、「問題解決能力」というコンピテンシーがある場合、社員が実際にどのような問題に対して、どのように解決策を考え、実行したかを評価項目に含めます。
- 人材育成:社員一人ひとりのコンピテンシーを把握し、足りない部分を補ったり、強みをさらに伸ばしたりするための研修やOJT(On-the-Job Training:実際の仕事を通じて学ぶこと)の計画に役立てられます。例えば、ソフトバンクグループでは、社員の能力開発や評価にコンピテンシーの考え方を取り入れているとされています。
覚えておくポイント
コンピテンシーは、単なる「能力」や「スキル」とは少し違います。スキルは「できること」を指しますが、コンピテンシーは「成果を出すために、実際にどのように行動するか、どんな考え方をするか」という、より具体的な行動特性に焦点を当てています。
「あの人はなぜいつも成果を出せるんだろう?」と疑問に思ったら、その人の「コンピテンシー」を観察してみると、きっとヒントが見つかるはずです。自分の仕事やチームの成果を高めるためにも、ぜひこの考え方を活用してみてください。