サプライチェーンレジリエンスとは?ピンチに強い供給網を作る力

サプライチェーンレジリエンスとは、製品がお客様に届くまでの流れ(サプライチェーン)が、災害やトラブルに見舞われても、素早く回復して止まらないようにする力のことを言います。

154 閲覧サプライチェーンレジリエンス

サプライチェーンレジリエンスとは?

「サプライチェーンレジリエンス」とは、一言でいうと、製品がお客様の手元に届くまでの全ての流れ(サプライチェーン)を、どんな困難があっても途切れさせないための、粘り強さや回復力のことです。

例えば、皆さんが毎日使うスマートフォンや、スーパーに並ぶ食料品は、たくさんの会社が協力して、材料を調達し、工場で作り、トラックや船で運び、お店に並べる、という長い道のりを経て私たちの手元に届きます。この一連の流れが「サプライチェーン」です。

もし、途中で地震が起きて工場が止まったり、国際情勢が悪化して船が動かせなくなったりしたらどうなるでしょう?製品が届かなくなり、私たちの生活にも影響が出ますよね。そうした予期せぬトラブルが起きても、すぐに立ち直り、製品の供給を止めないようにする力が、サプライチェーンレジリエンスなのです。

身近な例で考えてみましょう。例えば、皆さんのご自宅の電気やガス、水道が、災害で止まってしまったとします。すぐに復旧して、普段通り使えるようになることが望ましいですよね。これは、インフラ(社会基盤)のレジリエンスと言えます。サプライチェーンレジリエンスもこれと同じで、「製品の供給」という企業活動のライフラインを、いかに強靭にするか、という考え方です。

なぜ今、話題なの?

このサプライチェーンレジリエンスという言葉が、なぜ今、ビジネスニュースで頻繁に聞かれるようになったのでしょうか。

主な理由は、世界中で予期せぬ出来事が増え、製品を安定して供給することが難しくなっているからです。例えば、2020年からの新型コロナウイルスの世界的な流行では、工場が一時的に閉鎖されたり、物流が滞ったりして、自動車の半導体不足や、マスクなどの医療物資の不足が世界中で発生しました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻のような地政学リスク(国際的な政治や地理が経済に与える影響)によって、特定の国からの原材料の輸入が困難になったり、輸送ルートが使えなくなったりする事態も起きています。さらに、日本でも毎年のように発生する地震や台風といった自然災害も、サプライチェーンに大きな影響を与えます。

このような状況の中、企業は「もしもの時」に備えて、製品の供給を止めないための対策を真剣に考えるようになりました。例えば、トヨタ自動車は、過去の震災経験から、部品の供給が滞らないよう、複数の部品メーカーと取引したり、部品の在庫を増やしたりする工夫をしています。このように、有事の際にも事業を継続し、お客様に迷惑をかけないための経営戦略として、サプライチェーンレジリエンスが注目されているのです。

どこで使われている?

サプライチェーンレジリエンスの考え方は、私たちの身の回りの様々な場所で活用されています。

  1. 製造業:自動車メーカーや家電メーカーは、特定の部品が手に入らなくなった場合に備えて、複数の国や地域の工場で同じ部品を作れるようにしたり、代替の部品をすぐに調達できるように準備したりしています。また、部品の在庫を少し多めに持つことで、一時的な供給停止にも対応できるようにしています。
  2. 食品・流通業:スーパーやコンビニエンスストアでは、災害で特定の地域の物流が止まっても、他の地域から商品を供給できるようなルートを複数用意しています。また、賞味期限の長い非常食などを備蓄し、いざという時に店頭に並べられるようにしています。
  3. IT・通信業:インターネットサービスを提供している企業は、データセンター [blocked](サーバーなどを置く施設)が災害で停止しないよう、複数の場所にデータセンターを分散して設置しています。これにより、どこか一箇所が被災しても、サービスが止まらないように工夫しています。

覚えておくポイント

ビジネスパーソンとして、この「サプライチェーンレジリエンス」について押さえておくべきポイントは以下の3点です。

  1. 「もしも」に備える重要性:現代のビジネスは、多くの企業や国が連携して成り立っています。どこか一箇所でトラブルが起きると、全体に影響が及ぶ可能性があります。自分の会社や取引先が、どんなリスクを抱えているのか、そしてそれに対してどんな対策をしているのか、意識することが大切です。
  2. 情報共有と協力の必要性:サプライチェーンは、多くの企業が連携して成り立っています。トラブルが起きた際に、迅速に情報を共有し、協力して解決にあたる体制が整っているかどうかが、回復のスピードを左右します。日頃から取引先とのコミュニケーションを密にすることも重要です。
  3. 事業継続計画(BCP)との関連:サプライチェーンレジリエンスは、企業が災害や緊急事態に遭遇した際に、事業を継続するための計画である「BCP(事業継続計画) [blocked]」の一部として考えられることが多いです。自分の会社がどのようなBCPを持っているのか、確認しておくのも良いでしょう。

サプライチェーンレジリエンスは、企業が変化の激しい現代社会で生き残り、成長していくために欠かせない考え方となっています。ぜひこの機会に、皆さんの周りのビジネスがどのように成り立っているのか、考えてみてください。