棚卸資産評価(先入先出法・移動平均法)とは?在庫の価値を計算する方法

棚卸資産評価とは、会社が持っている売れ残りの商品や材料(在庫)の価値を、決算のたびにいくらと計算するかを決める方法のことで、先入先出法や移動平均法などがあります。

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棚卸資産評価(先入先出法・移動平均法)とは

棚卸資産評価とは、企業が事業活動で保有している在庫(商品や製品、原材料など)の価値を、決算のタイミングでいくらと評価するかを決定する会計上の手続きのことです。企業は、仕入れた商品や製造した製品を販売することで利益を得ますが、決算期末に売れ残った在庫は「棚卸資産」として会社の資産に計上されます。この棚卸資産の価値をどのように計算するかによって、会社の利益や税金に影響が出るため、重要な評価方法となります。

在庫は、同じ商品でも仕入れ時期によって価格が異なることがあります。例えば、ある商品を1月に100円で仕入れ、2月に110円で仕入れたとします。その後、その商品が売れた場合、どちらの価格の商品が売れたと考えるかで、残った在庫の価値も、売れた商品の原価も変わってきます。棚卸資産評価の方法は、この「どの在庫が売れたと仮定するか」という考え方によっていくつか種類があります。

先入先出法(さきいれさきだしほう)

先入先出法は、「先に仕入れたものから先に売れた」と仮定して計算する方法です。例えば、1月に仕入れた100円の商品と、2月に仕入れた110円の商品があった場合、先入先出法では100円の商品が先に売れたと考えます。そのため、残った在庫は110円の商品ということになります。この方法は、実際の商品の流れに近いことが多く、理解しやすいのが特徴です。物価が上昇している局面では、古い安い原価が売上原価となるため、利益が大きく計上される傾向にあります。

移動平均法(いどうへいきんほう)

移動平均法は、商品を仕入れるたびに、その時点での在庫の平均単価を計算し直す方法です。例えば、1月に100円の商品を仕入れ、その後2月に110円の商品を仕入れた場合、在庫の平均単価は(100円+110円)÷2=105円となります。この平均単価を使って、売れた商品の原価や残った在庫の価値を計算します。常に最新の平均価格で評価されるため、価格変動の影響を平準化できるのが特徴です。

なぜ今、話題なの?

棚卸資産評価は、企業の財務状況や経営成績を示す決算書に直接影響を与えるため、常に重要な会計処理の一つです。特に、原材料価格や商品価格が変動しやすい昨今の経済状況では、どの評価方法を選ぶかによって企業の利益額が大きく変わる可能性があります。

例えば、物価上昇が続く局面では、先入先出法を採用すると、先に仕入れた安い原価の商品が売れたとみなされるため、売上原価が低く抑えられ、結果として利益が大きく計上される傾向にあります。これにより、税金負担も増える可能性があります。一方で、移動平均法では、常に平均価格で評価されるため、急激な価格変動の影響を和らげることができます。

企業は、自社の事業内容や商品の特性、そして経済状況を考慮して、適切な評価方法を選択し、継続して適用することが求められます。評価方法を変更する際には、正当な理由が必要であり、その影響も開示しなければなりません。投資家や取引先は、企業の決算書を見る際に、どのような棚卸資産評価方法が採用されているかにも注目しています。

どこで使われている?

棚卸資産評価は、商品や製品を扱うすべての企業で行われています。

  • 製造業: 製品を製造するための原材料や部品、仕掛品(製造途中の製品)、完成した製品の在庫評価に用いられます。
  • 小売業: 店舗で販売する商品の在庫評価に用いられます。スーパーマーケットやアパレルショップ、家電量販店など、多種多様な商品を扱う業種で不可欠です。
  • 卸売業: メーカーから仕入れた商品を小売店などに販売する卸売業でも、仕入れた商品の在庫評価に用いられます。

これらの企業は、決算期末に必ず棚卸しを行い、実地棚卸(実際に在庫を数えること)と帳簿上の記録を照合し、棚卸資産評価方法に基づいて在庫の価値を計算します。これにより、正確な利益を算出し、株主や税務署に報告する義務があります。

覚えておくポイント

  • 棚卸資産評価は、在庫の価値を計算する方法であり、企業の利益や税金に直接影響します。
  • 先入先出法は「先に仕入れたものから先に売れた」と仮定し、実際の商品の流れに近いことが多いです。物価上昇時は利益が大きくなる傾向があります。
  • 移動平均法は「仕入れるたびに平均価格を計算し直す」方法で、価格変動の影響を平準化します。
  • 企業は、これらの評価方法の中から自社に適したものを選び、継続して適用することが会計上求められます。