減損会計とは?価値が下がった資産を帳簿に反映させるルール

減損会計とは、会社が持っている土地や建物などの資産の価値が、予想よりも大きく下がってしまったときに、その下がった分の金額を会社の帳簿に記録する会計処理のことです。

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減損会計とは

減損会計(げんそんかいけい)とは、企業が保有する土地、建物、機械設備、ソフトウェアなどの固定資産や、のれん(M&Aで買収した会社のブランド力や技術力など、目に見えない価値)について、その価値が著しく低下した場合に、帳簿上の価格を実態に合わせて引き下げる会計処理のことです。

例えば、ある工場が老朽化して生産性が落ちたり、その工場で製造している製品の市場価値が大きく下がったりして、将来その工場から得られるはずだった収益が見込めなくなったとします。この場合、帳簿上ではまだ高い価値があるように見えても、実態としてはその価値が失われていることになります。

減損会計は、このような実態と帳簿上の価値のずれを修正し、企業の財政状況をより正確に表示するために行われます。価値が下がった分は「減損損失」として、企業の損益計算書に費用として計上されます。

なぜ今、話題なの?

減損会計は、景気の変動や産業構造の変化、技術革新などによって、企業の保有する資産の価値が大きく変動する現代において、企業の経営状態を正しく評価するために重要な役割を果たしています。

特に、M&A(企業の合併・買収)が活発に行われる中で、買収した企業のブランド力や技術力といった「のれん」の価値が、買収時の想定よりも低下するケースがあります。このような場合にも減損会計が適用され、巨額の減損損失が計上されることがあります。これがニュースなどで報じられると、「あの会社は大きな損失を出した」と話題になることがあります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で、観光業や飲食業、小売業などの特定の産業では、店舗やホテルの稼働率が低下し、それらの資産から将来得られる収益が減少したため、減損損失を計上する企業が増加しました。このように、社会情勢の変化が減損会計の話題性を高める要因となることがあります。

どこで使われている?

減損会計は、日本の上場企業を含むすべての企業会計において適用される会計基準の一つです。国際会計基準(IFRS)を採用している企業でも、同様の考え方に基づく「減損テスト」が行われます。

具体的には、企業が事業計画を見直したり、市場環境に大きな変化があったりした場合に、保有する資産について減損の兆候がないかを確認します。例えば、土地の時価が著しく下落したり、特定の事業部門が継続的に赤字を出していたりするようなケースです。

減損の兆候が確認された場合、その資産から将来得られるキャッシュフロー(現金収入)の予測を行い、帳簿上の価格と比較します。将来のキャッシュフローの予測値が帳簿価格を下回る場合に、その差額を減損損失として計上することになります。

これは、投資家が企業の本当の価値を判断するための重要な情報源となるため、企業の決算発表時には、減損損失の有無やその金額が注目されます。

覚えておくポイント

減損会計について覚えておくべき主なポイントは以下の通りです。

  1. 実態に合わせた評価: 企業の保有する資産の価値が、帳簿上の価格よりも大きく下がったときに、その差額を損失として計上する会計処理です。
  2. 目的は透明性: 企業の財政状況をより正確に、そして透明性高く示すことで、投資家や金融機関などが適切な判断を下せるようにすることが目的です。
  3. 対象は幅広い資産: 土地、建物、機械設備、ソフトウェア、そしてM&Aで生じる「のれん」など、様々な資産が対象となります。
  4. 損失は一時的: 減損損失は、その会計期間の利益を減少させますが、これは過去の投資判断や市場環境の変化によるもので、必ずしも企業の将来性そのものが危ういことを意味するわけではありません。ただし、その原因を分析し、今後の経営戦略にどう活かすかが重要になります。

減損会計は、企業経営の健全性を保ち、外部の利害関係者に対して信頼性の高い情報を提供する上で不可欠な会計ルールと言えます。